マラソン:プロ転向宣言した川内優輝選手の今後の収入と彼の素晴らしさ

いつも、独特のスタイルが注目を浴びてきた公務員ランナーの川内優輝さん。

ボストンマラソン帰国後の記者会見でいきなりプロランナーになることを宣言し、またまた話題となりました。

 

大迫傑選手や少し前の高橋尚子選手など、少数の例を除いてはまだまだ前例が少ないプロランナーという仕事。 

 

安定した公務員を辞めるとなると、まず気になるのが収入のこと。 

プロ転向によって川内選手の収入がどうなるのか、勝手に予想しました。

 

・マラソンランナーの収入

ラソンランナーの収入は大まかにいうと以下の4つ。 

 ①出場給(レースに出ることで主催者からもらえる)

 ②スポンサー契約

 ③賞金(順位に応じて、あるいは大会記録等を出すことでもらえる)

 ④その他(CM出演,市民マラソンのゲスト、ランニング教室等)

 *上記以外に招待選手の場合は、旅費・交通費等の支給あるが、これは経費相当と見なして、便宜上収入からは除いています。 

 

 ・項目別収入見込み

①出場給

人気選手の場合、レースに参加するだけで主催者から報酬が支払われます。

当然、人気や実力に応じたランクがあるわけですが、川内選手の場合はボストンマラソンチャンピオンの称号を得たことで、これからランクが上がる事は確実。

 

また、最近では数少ない非アフリカ系のメジャーマラソン優勝者として、日本だけでなく海外の大会からの参加要請も増えてくるでしょう。

 

出場給のギャラは大会の規模によって異なるが、川内選手なら今でも百万円から数百万程度と言われています(今は公務員のため、実際には出場給はもらえない)。

年間12レース出ればそれだけで1千~数千万円レベル。

プロ化すると、これだけの収入が見込めます。

 

②スポンサー契約

ラソンランナーにとっては大切な収入。ケガなどでレースに出れなくなっても、収入の道が確保されるのは心強い。

「スポンサーを自ら探すことはない」と言っていますが、企業が放っておかないしょう。

 

スポンサーから見た彼のメリットは、出場するレースが多いこと。

通常のランナーが年に2~3回しかマラソンを走らないのに対して、彼はほぼ月に一回のペースでマラソンに出場します。シーズンオフ関係無くレースに出て、1年中話題を提供してくれるので、普通のランナーより宣伝効果は高い思われます。

「自由に活動したい」という川内選手の意向を考慮する必要はあるものの、名乗り出る企業はいくつもあるはず。

実際、先日(5/6)のレース後に「スポンサー獲得活動で、最近はあまり練習が出来ていない」という談話がありました。これを見ると、契約交渉は順調のようです。

 

1社当たり最低2~5千万円と言われていた高橋尚子選手のスポンサー料より、若干低めでと見て、1社1~2千万円。複数社で年間数千万円にはなりそう。

 

③賞金

収入として考えなくて良いでしょう。

金額がレース結果に左右され不安定ということに加えて、そもそもマラソンレースは賞金額が少ない。 

 他のスポーツに比べるとマラソンは賞金が一桁少ないうえ、賞金が出ない大会も多い。

 

例えば、テニスの場合は全米オープンで優勝すると350万ドル(約3億8千万)、ゴルフはマスターズ優勝で198万ドル(約2億2千万)。 

 それに対してマラソンの場合は、世界一の高額賞金で有名なドバイマラソンでも優勝賞金は20万ドル(約2,200万円)、プラス世界新で25万ドル(約2,700万円)。最大で合計4,900万円。

その次に高額なのが、ボストンマラソンですが、これでも15万ドル(約1,600万円)。

日本のマラソン大会だと、賞金が出るのは東京マラソン(優勝賞金1千万)ぐらいで、福岡・毎日・別大といった有名レースでも優勝賞金は「0」。 

 

プロサーキットとしての歴史があるテニスやゴルフは、賞金だけで生活できるシステムが出来ているが、マラソンはまだそこまでの仕組みが出来ていない。 

また現実問題として、アフリカ選手が参入してくる賞金レースで定期的に勝つのは難しく、他に数千万単位の収入が見込める川内選手はあまり重要視しないでしょう。

 

④その他

TVの解説、マラソン大会のゲストランナー等ありますが、川内選手の人気なら、CM出演の可能性大。

ゴール後に倒れこむシーンなど、ひたむきなイメージに対して、出演の話はありそう。

大体1本1~2千万程度? 

 

・結局、年間収入はどのくらいなるか?

 

「出場給」「スポンサー料」「その他」各々で1千~数千万円として、合計すると普通に考えて数千万、上手くいけば年収1億も夢ではない。

ただし、本人も当然分かっているでしょうが、この額はトップレベルでいられる数年間限定の話。それでも、そこに挑戦する姿勢は素晴らしいと思います。 

 

そう考えると夢があると思います。

学生時代には飛び抜けた成績を残したわけでもなく、実業団にも属していない選手が、一人でこつこつやっていれば、年収1億を狙えるまでになれた。

やりたいことをあきらめず努力を続けていれば、いつかは良いこともある、というメッセージのようで、勇気をもらえる話です。

 

 ・まとめ

川内選手の素晴らしさは、自分の頭で考え、自主的に行動する事だと思います。

指導者をつけず、チームにも属さず、練習方法、出場レースの選定、支援態勢等、一つ一つ自分の手で作り上げていった。時には、陸連という管轄団体と反発しながらも自分のやり方を突き通す。

 

そこには、これまでの体育会的な、指導者や協会・所属チームに従順な選手の姿はありません。自分のやりたいことを自らの意志で切り開こうとする者のみがもつ、清々しさを見ることが出来ます。

 

筒香選手以外の多くの選手や監督が自らの意見をほとんど発しない(意見がない?)プロ野球Jリーグの世界と比べると、その自立度は際立って見える。

 

彼の挑戦が成功することで、選手が自ら考えて行動する動きが日本のスポーツ界にも広がってくれると良いなと思います。

 

これから、プロとしてますます活躍することを期待します。