長文です。
多くの市民ランナーの目標であるフルマラソン。
そのフルマラソンを走る前の腕試し(脚試し?)として、ハーフマラソンに出場する人も多いかと思います。 実は、僕も昨年11月にめでたくハーフマラソンを完走することができました。
初めて挑戦するハーフマラソン。
多くの人には分からない事ばかりだと思います。
完走するには、どんな練習を、どの程度までやればいいのか?
練習では何キロ走るのか?
何ヶ月前から練習を始めれば良いのか?
どのくらいのスピードで走れば良いのか?
僕がそうでした。
少しでも、ランニング初心者の方の参加になればと、僕が完走できるようになるまでどんな練習をしたのか?その内容を振り返ってみたいと思います。
⑴練習開始前:状態と目標
・練習期間はどれくらい必要か
ハーフマラソンのレースに出場することを決めたのは、昨年の5月。大会出場の約6か月前です。
こんなに練習期間が必要かと聞かれると、結果からいうと必要ありません。
最短で3か月もあれば十分です。
ただし、練習の過程では怪我をしたり、仕事で予定通り走れない、こともあるでしょうから、トレーニング期間は長めに設定するほうがいいでしょう。
・大会参加の動機
定期健康診断の数値が悪化したのを見て、嫁さんから生活改善するよう言い渡されたことがきっかけ。
長年のだらけた生活によりブヨブヨになった自分の体に嫌気がさしていたこともあって、ハーフマラソンの大会へ申し込むことにしました。
その時の私の状態は、身長162センチ、体重67キロ。
20代の時から10キロ以上も体重が増えていて、典型的な太ったおじさん状態。当然のことながらメタボと診断されています。
そこで、半年後の目標を次のように定めました。
目標:11月12日開催のハーフマラソン大会に出場する
目標タイムは2時間
体重を60kgまで落とす
「2時間」という目標タイムに特に根拠はないのですが、フルマラソン4時間として、その半分かな、という軽い気持ちです。これは、キロあたり約5.7分(5分41秒)のペースになります。
早速、エプソンのランニング用GPSウオッチとナイキのマラソンシューズを購入。
練習開始を前に、準備だけは万端整えました。
⑵練習内容:練習を継続するには「ケガをしないこと」が重要
まず月別の練習結果から。
距離(KM) 回数 平均速度(分/km)
5月 60.0 7 6.4
6月 44.5 5 6.1 *膝が痛み始める
7月 57.6 8 7.4 *傷み悪化して練習一旦中止
8月 27.4 4 7.9 *21日から練習再開
9月 117.0 12 6.2
10月 139.0 13 5.7
11月 56.3 5 6.9 *11月12日に大会参加
・膝の痛みで8月までは練習量増えず
6月→8月の距離が伸びていないのは、表の右の欄にも書いているように、膝が痛くなったため。
6月に痛み出した時は、すぐ治るだろうと安易に考えていました。
痛くなったので練習を中止して、痛みが少し和らいだら練習再開、と繰り返していました。そうやって、だましだまし走ってもすぐ痛みが再発するので、一向に練習量を増やせない日々が続きました。
結局、7月下旬頃から8月21日までは全く走れませんでした。
後で思うと、痛みが出たときにきちんと休んでおけば良かったです。
練習を再開した8月21日には、体力が練習開始前のレベルまで戻ってしまいました。最初からやり直すことになっため、実質上のスタートは8月21日となりました。
ここでは8/21の再スタートの日から11/12の大会まで、約3か月弱の練習内容を書きます。
①まず歩く:怪我をしないフォーム作りと脚の筋力強化
怪我をする前は、走るフォームを甘く見ていました。
適当に走ってれば良い、と思っていたのが大間違い。フォームが悪いと途端に故障してしまいます。
分かったのが「歩くこと」の重要性。
雑誌やネット等で調べてみると、どうやら痛みが出る原因は「フォームが悪いこと」と「筋力の衰え」にあったようです(あくまでも自己診断です)。
「悪いフォーム」で走ることで、脚のいろんな部位に余計な負荷がかかる。
「筋肉が弱っている」ため、その余計な負荷を支えられなくなっている、とのこと。
遠回りに思えてもまずは歩いて、正しいフォームを身につけることが重要です。
僕の場合は、太ももの内側の筋肉が弱くなっていたのか、がに股気味の歩き方になっていました。たまたま、スーパーの窓ガラスに映る自分の不格好な歩き方を見て、気づきました。
窓ガラスに映る自分の姿を見ながら、歩くフォームを修正していきました。
がに股にならないよう 脚を付け根からまっすぐ出し、太腿全体の筋肉を使うようにします。こうすることで着地時に膝にかかる衝撃を、太ももで受け止めるようにするのです。(あくまで個人の感覚です。医学的に正しいかどうかは、確認していません)
こうやってフォームに気をつけながら歩いていると、徐々に痛みがなくなってきました。
「脚の筋力強化」としては、通常の生活にプラスαの運動を心がけました。
駅でエスカレータを使わず階段を利用する、通勤時に一駅前(僕は途中から3駅前に変更)で降りて歩く、週に何回か家の中でスクワットをやる、といったところです。
7月下旬から歩くことに専念した結果、3〜4週間も経つと太ももの筋肉を使う感覚がつかめるようになり、膝の痛みが消えていきました。
②練習再開:ペースを上すぎげない、最低2日以上休む
膝の痛みが治まったところで練習再開。
それまでは、膝に違和感(かくかくするような感じ)があっても、痛みさえひけば練習を再開していました。
歩いても膝に違和感を感じなくなったのを、「全快」の判断基準としました。
最初の頃、心がけたのは「ゆっくり走る」こと。
特に、フォームには注意しました。
ポイントは「歩行時のフォーム通りに走れているか」。
練習再開初日のスピードは、14分/kmと超スローペース。歩くより遅いですな。
フォームが少しでもおかしいなと思ったらすぐ歩いて、またゆっくり走るということを繰り返しました。
こうやって、歩いている時のフォームを走りに繋げたことが、この後の故障防止に役立ったと思います。
そうやて、痛みが出ないことを確認しながら、少しずつ走行距離とスピードを上げていきました。平行して、日常生活での筋力強化も継続。
練習の頻度ですが、中2日以上は空けた方が良いと思いました。
恐らく、筋力がまだまだ弱かったのだと思います。
最初は中1日で走ったのですが、歩いても膝に痛みを感じて、再発しそうな気配がありました。そこで、中2日で走るようにしたら、痛みが出なくなりました。
③練習の目先を変える
最初はやる気満々で走っていても、やがて飽きてきます。
3週間ぐらい経ったころ、モチベーションが下がってくるのが自分でも分かりました。そうなると、いろいろ言い訳をしてサボりがちになります。
ここからが、続けられるか挫折するかの分かれ道。
モチベーション維持のために僕がやったことは、練習内容を工夫してみること。
雑誌やネットで情報を集めたり知人に聞いた結果、練習メニューを下記のA〜Dの4通り作り、ローテーションで回すことにしました。
A:ジョギング:ゆっくり長い距離を走る
肺と脚を長い距離に対応できるようにするためですが、フォーム固めにも有効。
最初は、7分/km程度を目安としましたが、距離を伸ばしながらもペースも少しずつ上げていき、大会前には6分/kmで走れるようになりました。
注意するのは、フォームが崩れないようにすること。
B:スピード負荷トレーニング(知人から聞いた練習方法)
練習の前半の大体1km走った頃に、短い距離のダッシュ(400〜800メートル程度)を2、3回繰り返します。そうやって一旦限界近くまで心拍数を上げておき、そのあと通常のランニングに移る。
これをやると、次回練習時の呼吸が楽に感じます。
C:坂の上り下りを繰り返す:
家の近所に坂があったので、上り下りを繰り返すコースを設定しました。脚の筋力がつくし、登りで息が上がるので持久力養成にも効果ある。
D:レーススピードで走る:
これは大会の1か月前から始めたトレーニングで、レースの目標ペース(キロあたり5分41秒前後)で走ります。最初のうちは、7kmほどしか続かなかったのですが、大会の1週間前には15kmまで走れるようになったので、自信になりました。
AからC(時にはDも)の繰り返しを、少しずつ強度(距離、スピード、回数)を上げていきながら行います。
そうすると、大体1週間後に同じメニューが回ってきますが、前回より進歩していればうれしいし、進歩がなければ(または退化してれば)原因と対策を考える。
どちらにしても、モチベーションを維持することが出来ます。
⑶故障しないために気をつけること
半年間の練習を 振り返って何が一番大切かと聞かれたら、「故障しないこと」です。
故障で休むとせっかくのこれまでの練習が無駄になってしまいます。
細々でもいいから、走ってさえいれば進歩しているわけで、故障で走れないより、トレーニングを継続する方が断然良い。
今思えば、痛みが出始めたときに、すぐ練習を中止すれば良かったのですが、大丈夫だろうと勝手に判断して、練習を続けたのが悪かった。
少しでも痛みが出たら、無理はしないことが大切です。
故障を防ぐために気をつけること
上でも書きましたが、故障を防ぐために大切なのは3つです。
- きちんと休む
- 怪我をしないフォームを身につける
- 脚の筋力強化
加えて、以下ではその他の故障予防策を書いてみます。
①練習前後のストレッチ・マッサージ
練習の前後には必ずストレッチをしましょう。これをやるとやらないとでは、脚への影響が全く違ってきます。
痛みが出る部位というのは、往々にしてそれを支える筋肉・筋の柔軟性や筋力がなくなっていることが多いそうです。
僕の場合は、右膝が痛かったので整骨院で見てもらうと、膝を支える大腿の筋肉が固まっていると言われました。そこで練習前後に、ストレッチに加えて筋肉を緩めるマッサージも行いました。
②なるべく柔らかい場所を選んで走る
都会だと周囲はほとんどコンクリートやアスファルトばかりで、芝生とか土といった柔らかい場所は少ないとは思います。
そういう場合でも、部分的にでも柔らかい場所を走れるなら、足への負担は軽減できます。
僕の家の周囲はアスファルトの道路ばかりなのですが、2、3キロほど走ると運動公園やあぜ道があります。5キロ以上走るようなときは、そこまで脚を伸ばして、出来るだけ柔らかい箇所を走るようにしました。
(4)大会の結果
紆余曲折はありましたが、ついに11月12日に人生初のハーフマラソンを完走することができました。
結果は以下の通りです。
タイム:1時間58分47秒
順位:229位(448人中)
*体重:67kg→62kgと5kg減(60kgには2kg及ばず)。
*大会後に受診した間ドッグでは、数値が軒並み良くなっていました。
ランニングのおかげで「体調が良くなった。気持ちが前向きになった。飯が美味く感じる」と、日々の生活に良い影響があることは実感しています。
加えて、健康診断の数値で結果が出ると嬉しいものです。
⑸まとめ:3つのポイント
まとめると、ハーフマラソン完走のための練習で大切なことは以下の3つ。
・怪我をしない *これが一番大切
・練習期間は3か月でOK
・練習では15km(または90分)走れれば十分
今思うのは、前もってこのような目安が分かっていれば良かったなあ、ということです。そうすると、もっと余裕を持って楽にトレーニングができたと思います。
一時のブームも過ぎランニング人口が減少気味とか。
調査によると、ランニングを辞めた大きな理由の一つに「故障して走れなくなった」があるそうです。その中には、僕と同じようにトレーニングの方法が分からず、故障してしまった初心者の人も多いんじゃないでしょうか。
体にも心にも良くて、生活リズムにあわせて出来るランニングという趣味を、途中で辞めるのはなんだかもったいない気がしますね。
今回は、ランニングは続けたいけど故障で走れない、という人のためになればいい、と思って書きました。少しでも参考になれば幸いです。