【映画】スカーフェイス:成功を掴むため、破滅に向かって突っ走る男

凄くて、鮮烈で、ちょっと悲しい。

これが、この映画の主人公、トニー・モンタナの生き様です。

 

人生は時に、いや、いつも不公平。埋めようもない差を生まれながらに背負っている人も多い。そういう境遇に置かれた時、人はどうやって這い上がっていくのか?

 

この映画の主人公トニーは、とにかく突っ走る人生を選んだ。

 

 ブライアン・デ・パルマ監督、アル・パチーノ主演のバイオレンス映画でもあり、何も持たない人間が成功を掴むため、異国の地でもがく映画でもあります。

 

キューバ難民としてアメリカへ入国した主人公トニー・モンタナ。

グリーンカードを得る為に、難民収容所で殺人を犯すところから、彼の成り上がり人生が始まります。

 

麻薬取引に手を染め、腹をくくり何が何でも、のし上がって行こうとする。

欲しいものがあれば、それがボスの女であろうと手に入れようとする。

強烈なバイオレンスシーンと、吹っ切れたような主人公の振る舞い。

自分に正直に生きる姿には、憧れを覚えます。

 

しかし、心の底では自らの人生を完全には肯定できない自分がいる。

母親から生き方を否定され、妹には自分とは違うまっとうな世界で生きてほしいと願う。それでも一旦動きはじめた歯車はもう後戻りができない。

 

そして、後半では頂点を極めた男が破滅に向かう姿を描きます。

組織の頂点に立ったが、自分以外は誰も信用できなくなっトニー。精神的にも不安定になり、自ら麻薬に溺れて自滅していく姿は、あまりにも悲しい。

 

生まれながらに過酷な運命を背負うことを決定づけられていた男、トニー・モンタナ。

人生を生き抜くために、腹を括らざるを得なかった一人の男の強さと悲しさが見えてくる映画です。