2年前に会社を辞めて、フリーな毎日を過ごしている信三郎です。
会社員時代は長時間労働をしていました。
ここ2、3年は「働き方改革」として、労働時間短縮の動きが盛り上がっていますようです。
しかし、これは今だけの話ではなく、昔からサラリーマンの働き方は、時代によって揺れ動いています。
先日、下記のツイートをしました。
揺れ動く仕事観
— 信三郎 (@thinker_thinker) 2019年6月10日
80年代 :残業やめよう
↓
バブル: 24時間働けますか
↓
バブル崩壊:仕事より家族
↓
リーマンショック:とにかく仕事下さい
↓
令和; 働き方改革
次はまたハードワークの時代が来るのか?
僕が知っている限り、80年代以降の日本人の仕事観は「ハードワーク⇔労働時間短縮」の間で、何度も行ったり来たりしています。
だとすると、また何年か後に「長時間労働」の時代が来そうです。
それとも、今回の「働き方改革」で仕事観の揺れ動きに決着がつくのか?
僕は難しいと思っています。
それは「働き方改革」の動きが、会社の「人手不足」という、「企業側の都合」で発生したものだからです。
以下、詳しく書いていきます。
(スミマセン、長文です)
1.「働き方改革」とは
ポイント1:労働時間法制の見直し
働きすぎを防ぐことで、働く人々の健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現できるようにします
ポイント2:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
同一企業内における正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても「納得」できるします
詳細は、以下厚生労働省のHPを参照ください。
www.mhlw.go.jp
2つとも、とても良い試みだと思います。
しかし、ここで疑問が。
本来、どう働くかは個人が自分で決めること。
政府がわざわざ音頭取りをするようなことなのか?
まるで社会主義国のような動きに、違和感を覚えました。
2.周期的に揺れる日本人の仕事観
今、「働き方改革」によって労働時間を短縮する動きが盛り上がっています。
実は80年以降、何度も同じ動きが起きています。
上記のツイートの通りですが、トピックスを追加して再掲します。
スローガン 動き 景気
80年代:残業やめよう 労働時間短縮 好景気
↓
バブル:24時間働け 長時間労働 絶好調
↓
バブル崩壊:会社より家族 労働時間短縮 不況
↓
ITバブル:個人で起業 長時間労働 好景気
↓ (仕事に没頭)
リーマンショック:ブラック企業 長時間労働 不況
↓ (やりがい搾取)
現在:働き方改革 労働時間短縮 好景気
見ればわかりますが、「労働時間短縮⇔長時間労働」の間を、数年ごとに行ったり来たりしてます。
この周期はある程度、景気の動きに連動してます。
景気が上向き始めると「ハードワーキング(≒長時間労働)」が称賛される。
そのうち疲れてきて「労働時間短縮」が叫ばれる。
その後、景気が下降しだすと、企業のリストラが始まる。
すると、背に腹は変えられず、長時間労働を厭わない人が増えてくる。
この繰り返しが続いてます。
まさに、歴史は繰り返すです。
3.なぜ、揺れるのか?
(1)労働時間短縮運動やっても、労働時間が減らない理由
何度も「労働時間短縮」の動きがありながら、なぜ今だに長時間労働が多いのか?
結論から言うと、「個人の仕事観が確立されていないから」です。
これまでの労働時間短縮の動きは、いつも世の中の情勢を背景にして生まれています。
例えば、80年代の「残業やめよう」運動。
これは、当時圧倒的に強かった日本企業のもうけすぎが海外から批判されたことが発端。
「日本人は働きすぎだから、休め」という、訳の分からない声が海外から上がり、それに応じた運動。
これは、海外からの圧力によって始まった「労働時間短縮」の動きです。
または、バブル崩壊。
この時、多くの企業でリストラに遭ったサラリーマンが、家庭の大切さを見つめ直しました。
会社は最後は社員を守ってくれない、という風潮が広がりました。
企業のリストラをきっかけにした「労働時間短縮」の動きです。
このようにいつも、世の中の情勢や企業の都合によって、労働時間短縮の動きが始まっているのです。
ということは逆に言えば、状況が変われば労働時間短縮の動きも、終わってしまうということです。
これが、労働時間が一向に削減されない原因です。
(2)「働き方改革」は企業側の都合で始まっている
今回の「働き方改革」は、電通のOLが自殺したことを発端に盛り上がったことになっています。
こんな事件は2度と起きてはいけないし、その対策は必ず実施しなければいけません。
しかし、今回の「働き方改革」が始まった要因は、これだけではないように思います。
背景としては「企業の好業績が続いたことで人手不足」が顕著になったため、「労働条件を改善しないと、働き手を採用できなくなってきた」という企業側の都合もあります。
というか、「働き方改革」が大きな動きになったのは、企業側の要因のほうが大きいでしょう。
どうも、今回の「働き方改革」も、これまでと同じパターンで始まったように見えます。
「企業側の都合」で始まったものは、また「企業側の都合」で変わっていく可能性が高い、と言えます。
4.このままだとどうなる?
(1)かえって労働条件が悪化する
とはいっても「労働時間が短かくなるのはいいことでしょ」という、意見もあります。
実は、そうでもないのです。
今のように、会社主導で「労働時間短縮」をやると、景気が循環するとかえって労働条件が悪くなっていく可能性もあります。
例えばこれは実際に起きたことですが、サービス残業が普通になってしまいます。
好景気で労働時簡短縮運動:サービス残業始まる
↓
不況で残業代請求できない:サービス残業が常態化
↓
好景気で労働時間増える:時間外手当を請求できない
(2)80年代に起きたこと
僕の体験を例にとります。
上で書いたように、80年代にも残業を減らそう、という動きがありました。
しかし、その頃の日本企業は世界最強。
絶好調ですから、実際の業務量は減りません。
すると、どうなるか?
実際は定時後も仕事をしているのに、残業をやっていないことになっているので、時間外を請求できない。
「サービス残業」が横行してくるのです。
これは今の「働き方改革」でも、いくつかの会社で起きているそうですが、過去にも同じことが起きました。
好景気の後には、必ず不況がやってきます。
不況になると、「会社が赤字なんだから、残業なんかするな」という雰囲気になるわけです。
残業しても残業手当を申告できませんから、サービス残業が常態化します。
そして、景気が回復して仕事量が増えるとどうなるか。
そのときには、サービス残業が常態化しているので、業務量が増えても時間外手当を請求でません。
数年前の好景気のときは忙しくても、少なくとも残業代は貰えたのに、今回は請求できない。
残業手当を出さなくてもいいので、企業は働かせ放題。
以前より、労働環境が悪くなってしまった。
こうやって、景気が一周りするたびに、労働条件が少しずつ悪くなっていくサイクルにはまり込んでいくのです。
まあ実際は、企業によって、時代によって、「サービス残業」の部分が、「昇給停止」とか「非正規社員への置き換え」とか、いろいろな言葉に変わりますが、、、、。
要するに、企業都合で「働き方改革」を行うと、それがいつの間にか企業の「コスト削減」の一つになってくるのです。
そして、かえって労働条件が悪化していく危険性があるのです。
5.どう働くかは自分で決めるよう
じゃあ、どうすればいいのか?、、、
(1)働く目的をはっきりさせる
陳腐な結論ですが、「どのように働くかは、自分の意志で決めよう」です。
「労働時間短縮」の動きがあると定時で帰り、「長時間労働を推進」されると夜遅くまで残業する。
その時の社会状況に振り回されて、貴重な人生を浪費していくのだろうか?
それを防ぐには、自分は何のために働いているか、をはっきりさせることが大切です。
そして、社会の状況がどうであれ、自分の仕事観に合った働き方を、自分の意志で選択することが大切です。
そうしないと、その時の周りの雰囲気にいつも左右される人生になってしまいます。
しかし、日本人は「何のために働くのか?」をきちんと考えないままに、仕事をしている人が多いように感じます。
(2)何となく働いていた自分
僕がそうでした。
何となく卒業して就職をして、眼の前に仕事があるからそれをこなしていく。
会社に行けば収入があるし、日々そこそこ暮らしていける。
そんな、毎日でした。
そんなある日、ふと「今日、死んだら俺は人生で何もやっていないなあ」と思いました。
このとき初めて、自分が何のために仕事をしているのかを、真剣に考えたのです。
そして、いろいろ考えた挙げ句「収入よりも自由な時間のほうが大切だ」という結論に至ったので、会社を辞めました。
働くこと自体は目的ではなく、幸せになるための手段の一つに過ぎないと、思います。
もちろん、「働くことこそ生きがい」という人もいるでしょう。
そういう人はどんなに働いても、OKです。
(3)周りの雰囲気でなく、自分の頭で考える
最近よく、「今の『働き方改革』のご時世、そんなことはできないよ」という言葉を聞きます。
これは、違うと思う。
「会社が~」とか、「今の時代は~」といって、会社や回りの雰囲気のせいにして、やる事やらないのはのは、単なる思考停止です。
「人として」、「自分の価値観」として、自分の意志で「良い・悪い」を決めるべきです。
6.結論
きょうの話をまとめます。
①「労働時間短縮」の動きは、周期的に出てくる
②企業主導の「労働時間短縮」の動きは、労働条件を悪化させる可能性がある
③世の中の情勢に振り回されないためには、一人一人が「何のために働くのかちゃんと考る」ことが大切
いま、大きな動きになっている「働き方改革」は、もちろんやったほうがいい。
「世界的に長い労働時間」を減らすのは、大切です。
でも、数年後に社会全体が、長時間労働を礼賛(許容)する時代が来る危険性はあります。
「長時間労働⇄労働時間短縮」を繰り返す、という無駄なことはやめませんか?
社会の情勢に流されて、働き方が右往左往させられるのは、誰も望んでないと思う。
大切なことは、働く一人一人が自分の意志を持つことです。
一時的な労働時間短縮よりも、一人一人が自分の価値観に従った働き方をする社会の方が、よほど良いと思います。