5月から始めた首都圏スタジアム観戦記ツアー。
先日の東京ドームで、首都圏のプロ野球5球場が終了しました。
観客に球場に足を運んで貰おうと、各球団はそれぞれ趣向を凝らした球場づくり・顧客サービスを行なってました。
その内容も、各チーム共通のものから、球団独自のものまで、様々。
昔、プロスポーツのスタッフとして働いた経験がありますが、ホームスタジアムというは、チームの収益の源でもあり、もっとも重要な資産です。従って、ホームスタジアムを見れば、球団の経営に対する本気度が見えてきます。
今回、実際に足を運んでみて感じた、首都圏の球場ごとの特徴をまとめてみました。
これから、プロ野球を観に行こうと思っている人は参考にしてみて下さい。
1.観戦内容
①観戦した試合
- 5月17日:千葉ZOZOマリンスタジアム(ロッテVSオリックス)
- 5月22日:横浜スタジアム (DeNA VS 中日)
- 5月25日:メットライフドーム (西武VS日本ハム)
- 8月2日 :神宮球場 (ヤクルトVS広島)
- 9月11日:東京ドーム (巨人VSヤクルト)
②見た場所:内野指定席券
できるだけ同じような位置になるようにしましたが、入手状況で球場によっては位置が異なります。
・ベンチ裏近く:ZOZOマリン、メットライフドーム、神宮球場
・外野近く:横浜スタジアム
・上段の方:東京ドーム
座席の位置によって見やすさは変わリますが、それは考慮せず採点しています。
*横浜と東京ドームは人気チケット化していて、良い席はなかなか取れなかった。
2.独断と偏見による球場別採点結果
*採点の考え方
採点で重視したのは以下の3項目。
- リラックスして試合を見れるか(座席、食事)
- 球場のワクワク感(電光掲示板、球場の雰囲気)
- 立地条件(環境)
*( )内は、採点表の項目名を表してます。
ポイントは、「会社帰りのおじさんがぶらっときて楽しみめるか」。
最も重視したのは「座席でゆったりできること」。
隣の人と体が密着したり、前後の余裕がなくて通路に出にくい、という状態は困る。
ビールやつまみを片手にのんびり観戦したいので、食事もある程度のレベルが欲しいところ。
そういった視点から採点した結果、一位は西武メットライフドーム、2位千葉マリンスタジアム。パリーグの2球場が上位を占めました。
2球場とも、「座席」「食事」「球場の雰囲気」といった、球場そのものの良さで高得点。特に座席に余裕があるのが、高得点に繋がった。
球場への投資意欲は、パリーグの2球団がセリーグ3球団を上回っているように感じました。
一方、下位になったセリーグ3球場の良いところは、立地条件や環境。
都心の近くとか、駅前とか、周囲に遊ぶところが多いとか、便利な場所にあります。これは、特にリピーターにとってはありがたいことじゃないでしょうか。
3.球場別詳細
1位:西武メットライフドーム:36点
素晴らしい球場でした。「雰囲気・売店・座席」全てが素晴らしい。
計算された導線、周囲の緑と調和したスタジアムカラー、余裕を持ったシート幅、きれいなコンコース、充実したショップ。他の4球場とは一味違った造りでした。
スコアボード裏から入場すると、目の前に広がる緑の芝生にわくわくする気持ちになります。球場としての全体感のようなものが、よく出ています。
食事も、単なる売店だけで無く、試合を観戦しながら飲食出来る店があるなど、清潔感も含めて、充実してます。
ネットでみると、春先の寒さ・真夏の暑さは半端ではないようです。ただ、僕が行ったのは5月でさわやかな天候の日だったため、気温・湿度の問題は感じませんでした。
季節の問題を除けば唯一の欠点は、アクセスが悪いこと。
球場に着くには、池袋から急行で30分の所沢から、更に乗り換えるという不便さ。埼玉県民以外の人が、頻繁に球場に足を運ぶのは大変です。
自社で保有していることもありますが、西武球団の球場へ投資する姿勢は素晴らしいと思います。
最近は、各球団ともIT系サービスには力を入れていますが、球場の本格的な改修をしている所は少ない。ITサービスに比べると、球場の改修は桁違いに金も時間も掛かるので、なかかな手が出しづらいところでもあります。
そういったことを考えると、西武の球団経営の本気度が分かるスタジアムでした。
遠いけど、一度行ってみる価値がある球場です。
2位:千葉ZOZOマリンスタジアム:33点
メットライフドーム同様、座席が広めなのがうれしい。傾斜が適度にあってグランド全体を楽に見渡せるので、ゆっくりと観戦出来ます。
特徴は電光掲示板。センターボード以外に左右にも掲示板があります。そこに、投手と打者の細かいデータが表示されるのはありがたい。
売店関係は、ロッテリアが入っていて、食事もそこそこのレベル。
欠点は、ここもアクセスが悪いこと。最寄りの京葉線海浜幕張駅から徒歩15分。駅前のショッピングモールを抜けると、寂しい道をとぼとぼ歩かないと行けない。
帰り道は、心も体も疲れ切ってしまいました。
3位:東京ドーム:32点
球場単体より、東京ドームシティで遊ぶついでに行く球場ですね。そのくらい周囲のレジャー施設が充実してます。
遊園地、ボウリング場、天体見学、レストラン、JRA等々。朝から来ても1日では遊びきれないくらいの施設が揃ってます。
コンコースが広く、売店が充実しているのも嬉しいところ。
本当は、売店で買った飲食物を持ってゆっくり観戦したいところですが、シートが小さいのが難点。シートが小さいので、座席で食事するのは難しい。
また、写真で前の人の頭が複数写っているように、傾斜が緩くグランドが見づらいのも困ったところ。
ゆったりと野球観戦するには不向きな球場です。
4位:明治神宮球場:28点
歴史を感じさせる外観はさすが。
立地場所もなかなか。青山・表参道から神宮外苑散策というデートの後に、ここで野球を見るというのは良いんじゃないでしょうか。
ただ、座席が小さいので試合を最後まで見るのは苦しい。
ここに来るなら、ちょっと高いけど、スぺシャルシートのような広々とした座席を予約するのがお勧めです。
学生野球と共同使用ということもあるのか、設備に特徴がない。顧客サービスという点から見ると、素っ気ない感じがあります。
第5位:横浜スタジアム:26点
うーん、ネットとか見ると評判は良いようですがねえ。
観戦した経験から言うと、クエスチョンマーク(?)が5個ぐらいつきます。
とにかく座席が小さい。5球場の中では一番きつかった。
ずっと座っているのは無理です。体をほぐそうと思ってコンコースに行くと、そこも大混雑。通路が狭く人で一杯で、身動きがほとんどとれない状態。
球場内、どこにいても疲れしまうので、7回途中で帰ってきました。
DeNAは、ここ数年急激に観客動員を増やしているようですが、球場の設備が観客増に追いついていないようです。
良いところは立地。港町ヨコハマの中心にあるので、近くに散策する場所はたくさんあります。オシャレな店がいくつもあるので、試合前後に食事したり、海を見に行ったりという楽しみは豊富です。
また、親会社がゲーム会社だけあって、IT系サービスは他球場より充実しています。
ただ、ITサービスも良いけど、設備の改修にも少しは金をかけて欲しいと思わせる球場でした。残念。
4. 5つの球場観戦で分かったこと
5球場で試合観戦して思ったのは、これからは(球場の施設の)ハード系の勝負になってくるだろう、ということ。
最近は、顧客サービスに力を入れる球団が増えて、スペシャルシートを増やしたり、試合後の選手とのハイタッチ、ポイント付加等、ファンサービスが増えたことは嬉しいところです。
ただ、今はそれがIT系のソフトサービスに偏っています。
IT系サービスは、低コストで簡単にできるけど、真似もしやすい。
そのため、どの球団も似たり寄ったりの内容になってます。
一方、金も時間も掛かる球場設備(コンコース、座席の広さ、傾斜、動線など)の改善は、メットライフドームを除いてどこもいまいち。
球場別の詳細でも書いたように、座席が小さいため、ゆっくり観戦できない球場が多くあります。
野球というスポーツは、”間”が多い。
野球場で大切なのは、ゆったり観戦できる事だと思います。
約3時間の試合のうち、実際に白球がグランドに転がっている時間というのは、全部で10分もないでしょう。
試合時間のほとんどは「何も起きていない時間」です。
「仕事帰りのサラリーマンがぶらっと球場に立ち寄る」という前提に立った場合、多くの人は内野席で試合をゆっくり観戦したいはず。
そういう人たちは、「何も起きていない時間」は、飲食しながらゆっくりと座っていたい。
残念ながら、首都圏の多くの球場は、そういった点では改善の余地が多いと思いました。
ゆったり過ごせる座席を提供出来るか。
これが、これからの球場設備の大切な要素になるでしょう。
5.シチュエーション別お勧め球場
ひとくちに野球場と言っても、「立地が良い」「オシャレな場所にある」「球場の雰囲気がいい」と、その特徴は様々です。
また、野球の楽しみ方も、「ひいきの球団を応援したい」「家族と一緒に楽しみたい」など、人それぞれだと思います。
そこで、実際に行ってみて分かった各球場の特徴を踏まえて、シチュエーション別球場の楽しみ方をまとめてみました。
もし、首都圏でプロ野球を観に行くようなことがあれば、参考にしてください。
①純粋に野球観戦を楽しむ
ポイント;座席がゆったり、食事も充実
不便な場所にあるけど、のんびり野球観戦を楽しみたいのなら、この2球場がお薦めです。とにかく、純粋に野球を楽しんでください。
②家族や仲間とわいわい遊んで、野球以外も楽しみたい
東京ドーム
ポイント;周辺施設が充実
丸一日費やすつもりで、朝からドーム周辺設備を遊び尽くしましょう。子供づれや若者グループには最適ではないでしょうか。
ポイント;立地場所、周辺で散策できる
球場の周辺は大人のデートスポット満載。表参道・青山通りを散策したり、港町ヨコハマを巡ったり、試合だけで終わるのはもったいないです。
シートが狭いので、くれぐれもスペシャル座席の予約をお忘れなく。
狭いシートに3時間も座ったら、楽しい気分が台無しになるかも。