長期株式投資の名著の一つだと思います。
筆者が長年のS&P銘柄の研究から得た、長期株式投資の手法が紹介されてます。
膨大なデータに基づいた考証を行っていて、その理論は説得力はとても高いものになっている。
投資に対するスタンスも健全で、株式投資を始めるに当たっては必須の一冊。
【ポイント】
・債券や現物資産と比較すると、株式の長期保有はリスク少なくリターン大きい投資
・長期保有で高いリターンをもたらすのは、株価上昇と配当の再投資
・リターンが高い株の多くは「成熟業種の伝統ある優良企業」である
・優良企業とは「品質に対する信頼が高い」「コスト削減を徹底」「業界で圧倒的な地位を築いている」「世界の市場を開拓している」こと
・S&P500銘柄を50年間分析した結果、リターンが良かったのは下記銘柄。
①誰でも知っている消費者ブランドを持つ「生活必需品」メーカー
②誰でも知っている大手製薬メーカ−
1.長期で高いリターンをもたらす株式投資
長期で見た場合、債券あるいは金といった現物資産より、株式は「リスクが低くリターンが高い」投資です。
もちろん、どんな銘柄でも高いリターン得られるわけではない。
大きな利益をもたらせてくれる「黄金銘柄」を知る方法はあるのか?
こいう問いに対し、本書は「黄金銘柄はある」と言い切っています。
それ名は何かというと
①高い株価上昇
②配当の再投資
この2つの条件を満たす銘柄。若干拍子抜けするような答え。
「②配当の再投資」は良いにしても、「①高い株価上昇」の銘柄をしりたいところ。
2.「高い株価上昇」をもたらす銘柄とは?
問題は、「高い株価上昇」をもたらしてくれる銘柄をどうやって見つけるか?
・高い株価上昇をもたらすのは、誰でも知っている「生活必需品」「大手製薬」メーカー
まず始めに注意するべきなのは、高いリターンをもたらす株とは、IBMとかマイクロソフトのような技術革新を行った企業ではないこと。
実は、人気のないセクターの古くからある優良株こそが、長期的に「高い株価上昇」をもたらします。
筆者が、S&P500の個別銘柄の成績を一つずつ分析した結果から導かれた結論は、
①誰でも知っている消費者ブランドを持つ「生活必需品」メーカー
②誰でも知っている大手製薬メーカ−。
この2種類に当てはまる企業のリターンが一番高い。
それでは、なぜこういった地味な企業の運用成績が、IBMなどの技術革新をリードするような企業の運用成績を上回るのか?
それは、投資家の期待値の違いによるもの。
将来の業績向上の期待値が高いと、実力以上に株価が上昇してしまう。
一方、人気のないセクターの企業の場合、市場は過大な期待をしない。そのため将来の業績見込みも控えめとなり、株価も割安になりがち。というか、その時点での業績に見合った株価となることが多い。
長期間で見ると株価は実態に合った価格に収斂していくので、不人気セクターに属する企業が着実に業績を向上させれば、結果として株価も上がっていく。
このため、不人気セクター銘柄のリターンが人気セクター銘柄のリターンを上回るようになる。
3. 配当の再投資
また、新興企業と成熟企業の配当の違いが、リターンの差を増大させている。
成長産業は利益が出てもそれを配当ではなく投資することが多いが、成熟企業は投資機会が少ないことから、獲得した利益を配当に回すことが多い。配当があれば、それを再投資し保有株式を増やすことができる。そのため、配当の再投資がない場合より、リターンが増えていく。
4.まとめ
この本から学ぶべき一番のことは、投資に対する基本的な考え方を確立することの大切さ。
世の中の通説や流行を鵜呑みにするのではなく、世界の大きな流れをよくと見たうえで、きちんとした証拠やデータに基づいて、自分なりの確固たる考えを確立すること。
その意味で、投資をやっている人が何回も読み返すべき本だと思います。その都度自分の投資手法とこの本に書かれていることを照らし合わせながら、フィードバックさせていく。
そうやって何度も手にとって、この本に書かれていることを体にしみこませることが、結局は投資の成功の近道なのかもしれません。
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