題名に騙されてはいけない!。面白い本です!。
読む前は、受け狙いの薄っぺらい本だと思ってました。しかし、手にとって見ると読み応え十分。
テクノロジーと人間の感情。これがどのように、これからの経済を動かしていくのか。著者は鋭い視点で切り取ってくれます。
経済の未来を知りたい人には、最適な1冊です。
ここで言う「お金2.0」とは、金融の枠組みを根本から再構築すること。
テクノロジーと新しい価値観の組み合わせによって、全く新しい経済の流れが出来つつある現状を、経済の根本から遡って説明してくれます。
経営者でもある著者は、経営の現場で日々戦いながら、経済活動を深く考えてきたのでしょう。その切り口はユニークながら、現実を踏まえたものであり、うなずく箇所が多くある内容になっています。
考え方の根底にあるのは、「経済は自然の摂理に従っている必要がある」こと。
今の中央集権的な金融制度は人為的に管理されたもの。従って、今後は衰退していく運命にあります。
では、どういう方向へ変わって行くのか?
それは、人の感情に共感を呼び起こして、自然発生的に生まれてくる経済。
今の資本主義は、経済的な有用性しか見ていないため、人間の共感を誘発できていない。これからは、愛情・共感・興奮などといった感情に訴えかけるものに対して、人々は価値を見いだすようになる。
経済が「人間の幸せ、社会の公共性向上」を価値の中心にしていく。
筆者はこれを「価値主義」と名付けます。
経済が、 これまでの利益中心の資本主義から、人間の価値観を中心とした「価値主義」へと変わっていくのです。
これからは、自分が価値を見いだしたものや応援したいものに、直接お金を投資するようになります。
例えば、クラウドファンディングや仮想通貨の「投げ銭」のような仕組み。
これは、 個人が新しくお金や経済圏を作るようなもの。
こうなると、これまでの国や官庁が管理する経済圏や通貨制度以外に、個人が作ったいくつもの貨幣・経済圏が出来るようになる。
これを個人の立場から見ると、自分の価値観に適した経済圏を選ぶことが出来るようにもなる。
著者はこの流れを「お金や経済の民主化」と言い、これからも続いていくとみています。
お金や経済圏を個人が作っていく時代がやってくる。
こうやって文章にすると、俄には信じがたいSFのような話です。
しかし、経済の根本から解き明かす本書を読み進めていくと、その実現性は意外と高いのではないかと思えます。
資本主義から価値主義へ。
この価値観の変化は素晴らしいものであり、その実現を願う自分がいます。
現実には、SNS・仮想通貨はまだまだ多くの問題を抱えており、その道のりは険しいでしょう。
しかし、早い段階でこの変化に乗れば、そのリターンは大きいようにも思える。
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/29
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お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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