高校野球に関するニュースで、野球部の部活継続率が史上最高で90%を超えたという記事がありました。
1年生の時に野球部に入った生徒が、3年になっても90%以上が続けているということです。
これは史上最高数値だそう。ちなみに、過去の推移を見ると、
平成元年74.5%→平成10年77.9%→平成20年82.3%→平成29年90.9%
29年で16%上昇している。
変わりゆく高校野球──部活動の継続率は90%超! 強豪校で野球部員の“やめない化”が進むワケ - スポーツ - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]
このニュース自体は、良いことだと思います。
しかし、ここで疑問が。
この90.9%というのは、生徒が部活動を続けたいと自ら望んだ結果なんだろうか?
この中に、辞めたくても辞められなかった生徒はいないのだろうか?
・やめづらい雰囲気がある部活動
僕の学生時代は、(野球部に限らず)どの部活動も辞めづらい雰囲気がありました。
妻も、中学校でバスケット部に入っていた時は朝練・本練でヘトヘト。
毎日のように「辞めたい」思っていたけど、辞めれずに最後まで続けたそうです。
数年前の3月の話。
近隣にある高校野球の強豪校の生徒二人が、カフェで話しているのが聞こえてきました。
その高校は、春の選抜に出場が決まっていたのですが、その二人はベンチ入りメンバーに入れるかどうかで、レギュラーになれる可能性は低いようでした。
その二人が会話の中で、「練習に行きたくない。部を辞めたい」という言葉を何回も繰り返すのが、とても気になりました。
辞めたいけど辞めれないって、何なの? ヤクザや暴力団じゃないんだから。
部活動というのは、生徒が自主的に運営するもの。
辞めようが、続けようが自由なはず。
でも、いざ退部届を出そうものなら、今でも顧問の先生や監督から暴言を吐かれることがあるみたい。辞めた後に、何となく学校生活が気まずくなる事もあるようだ。
・部活動には、プラス・マイナス両面ある
特に体育系に多い、一旦入ったら最後まで続けろという考え。良くないと思う。
まだ10代なのだから、やりたいことが数ヶ月で変わって当然。
入学したときはやりたかったけど、嫌になったり、興味が他のことに移るのは普通。
部活動には良い面もあります。僕も、ここには書ききれないくらい、良い思い出がたくさんある。
生きていく上で、部活動の経験が心の支えになったこともあります。
しかし、社会に出て30年。
冷静に見てみると、部活動には悪い面も多くあることに気づきます。
プラス・マイナスを考えると、人によってはマイナス面の方が多い場合もあるんじゃないだろうか。
強圧的な指導者、異常な上下関係、長時間の拘束、非合理な練習内容、対等な議論が成り立たない世界等。減ってきたとは言え、まだまだ多くの悪習が残っている。
つい先日も、往来の交差点で近隣の大学野球部の後輩が、先輩へ向けて大声を張り上げて挨拶している場面に出くわした。
本当、近所迷惑だよ。とても20才過ぎた大人とは思えない振舞いにゲンナリ。
豊かな感受性を持つ10代~20才前後の時代に、こういう理不尽な世界に身を置くことは、人格形成面へのマイナスが大きいと思う。
「部活動的体質」に「我慢」が加わって、ブラック企業が出来上がってしまう。
・辛いことを我慢するのは尊いとは限らない
「辛いことを我慢する」のを美化するのも、もうそろそろ辞めませんか。
社会では、辛いことを我慢しても必ずしも良いことが起きるとは限らない。我慢すればするほど、ますます泥沼にはまることもある。
それより、自分のやりたいことを好きなようにやるほうが、最終的には良い結果を生むことが多い。
続けることで、後々よかったと思う事があることは否定しません。
しかし、さっさと辞めて他の事をすれば、もっと良かったかもしれない。異なる分野で才能を開花させる生徒もいるはず。
辛いことを我慢させることで、豊かな人生を送る権利を剥奪していないだろうか。
個人的には部活動は大好きでした。
自分で望んで部活動を続けている生徒は、素晴らしいと思います。
しかし、辞めたいと思っているのに辞めれないという環境はおかしい。
「やめたい」というのが自分の意思なら、その考えは尊重されるべき。
世の中は、スポーツの世界以上に広い。
体育会的気質がなくても、部活動を途中で辞めても、活躍できる場は世間にいくらでもある。
貴重な青春時代。
違う事をしたいと思う生徒がいるのなら、周囲の人間はその邪魔をしてはいけない。