【スポーツ】中学生の最近10年の競技人口推移:全18競技中増加したのは5競技のみ。13競技で減少。マイナー競技は軒並み減少。

2か月ほど前、高体連の競技人口の推移について書きました。 

bird2010.hatenadiary.com

 

第2弾として、中学校の競技人口の推移について書いてみます。 

少子化の流れの中、中学生の競技人口はどうなっているのか?

 

1.中学生の競技人口の推移

出典は、日本中学校体育連盟(略称:中体連)のHP。

中学校の部活動の状況を把握したり全国大会の運営等を行っている団体です。

高体連と同じように、硬式野球やユースサッカー・クラブスポーツは管轄外となっていますが、全体的な傾向を掴むにはここのデータで十分だと思います。

 

対象は、中体連が全国大会を運営する18競技。競技人口の多い上位10競技の内訳と18競技の合計を表にしました。

対象期間は10年間。平成19年・24年・29年と5年ごとの推移を見ます。 

(図1)中体連加盟人数の推移             (単位:人、%)
種目 男女別 H19
(A)
加盟率 H24 加盟率 H29
(B)
加盟率 B/A
(%)
B-A
ソフトテニス 175,528 9.6 168,059 9.3 161,643 9.4 92 -13,885
  201,550 11.4 196,379 11.3 176,984 10.8 88 -24,566
  377,078 10.5
364,438
10.3 338,627 10.1 90 -38,451
バスケット 170,817 9.3 177,201 9.8 162,584 9.5 95 -8,233
  156,080 8.8 146,953 8.5 135,357 8.2 87 -20,723
  326,897
9.1
324,154 9.1 297,941 8.9 91 -28,956
卓球 155,725 8.5 145,078 8.0 155,004 9.0 100 -721
  85,906 4.9 90,874 5.2 97,645 5.9 114 11,739
  241,631 6.7 235,952
6.6
252,649 7.5 105 11,018
陸上 109,081 5.9 129,701 7.1 126,465 7.4 116 17,384
  94,386 5.3 92,026 5.3 95,972 5.8 102 1,586
  203,467 5.6
221,727
6.2 222,437 6.6 109 18,970
サッカー 224,348 12.2 248,980 13.7 212,239 12.4 95 -12,109
  3,422 0.2 4,691 0.3 5,816 0.4 170 2,394
  227,770 6.3
253,671
7.1 218,055 6.5 96 -9,715
バレーボール 56,912 3.1 50,638 2.8 56,692 3.3 100 -220
  187,912 10.6 161,427 9.3 154,844 9.4 82 -33,068
  244,824 6.8 212,065 6.0 211,536 6.3 86 -33,288
軟式野球 306,300 16.7 261,527 14.4 174,343 10.2 57 -131,957
  4,737 0.3 1,886 0.1 2,686 0.2 57 -2,051
  311,037 8.6 263,413 7.4 177,029 5.3 57 -134,008
バドミントン 35,342 1.9 37,256 2.1 49,469 2.9 140 14,127
  86,908 4.9 88,660 5.1 87,038 5.3 100 130
  122,250 3.4 125,916 3.5 136,507 4.1 112 14,257
剣道 66,792 3.6
62,710
3.5 52,634 3.1 79 -14,158
  33,323 1.9 38,682 2.2 33,210 2.0 100 -113
  100,115 2.8 101,392 2.9 85,844 2.6 86 -14,271
ソフトボール 2,988 0.2 2,262 0.1 1,583 0.1 53 -1,405
  59,049 3.3 50,449 2.9 39,623 2.4 67 -19,426
  62,037 1.7 52,711 1.5 41,206 1.2 66 -20,831
10競技小計 1,303,833 71.1 1,283,412 70.7 1,152,656 67.2 88 -151,177
  913,273 51.7 872,027 50.2 829,175 50.5 91 -84,098
  2,217,106 61.6 2,155,439 60.7 1,981,831 59.0 89 -235,275
全競技合計 1,386,838 75.6 1,370,358 75.5 1,230,783 71.7 89 -156,055
  952,947 53.9 920,274 53.0 873,992 53.3 92 -78,955
  計(E) 2,339,785 65.0 2,290,632 64.5 2,104,775 62.7 90 -235,010
中学生人口 1,834,575   1,815,765   1,716,095   94 -118,480
(参考) 1,766,680   1,737,022   1,641,168   93 -125,512
  計(D) 3,601,255   3,552,787 0 3,357,263   93 -243,992
             
*加盟率:中学生人口に対して加盟している割合        

 

 

中学生全体の人数は、10年間で360万人(H19年)→336万人(H29年)、93%に減少。

それに対して、部活動の加盟人数は、234万人→210万人と90%。中学生の人口減以上に、部活動に参加する生徒は減っています。硬式野球やユースサッカーなどの、校外のスポーツクラブ等が増えている事もあるので、まあ、こんな所だと思います。

 

2.種目別の競技人口:増加種目と減少種目で明暗がクッキリ別れる

 

全18競技中、増加しているのは5競技(卓球、陸上、バドミントン、ハンドボール、水泳)のみ。残り13競技は軒並み減少しています。

 

増えているのは、いずれも競技人口が1万人を超えている競技。

一方、競技人口1万人未満のマイナー競技は全て減少している。

中学生のメジャー競技への集中は、マイナー競技にとっては心配なところ。

 

競技別に見てみると、ここ10年の人気と不人気がはっきり分かります。

以下では、競技人口が多い10競技の状況を書きます。

 

・競技人口増えたのは、陸上・バドミントン・卓球

中学生人口の減少にも係わらず、競技人口が増えたのが、増加人数が多い順に「陸上競技(+19千人)」「バドミントン(+14千人)」「卓球(+11千人)」の3種目。

 

中でも、「バドミントン:男子」の増加は著しいこの10年間で140%(+14千人)!。増加分は全て男子。

高校生も190%も増加していたし、この競技人口の増加ぶりは何なんですかね?凄すぎます。

理由を調べてみたけど、どこにもそれらしき話がなくて、要因がよく分かりません。

一時期は、「オグ・シオ効果」とか「リオ五輪での金メダル効果」とか、言われていましたが、そうだとすると女子も同じくらい増えているはず。

何か秘訣があるのなら、スポーツ界全体で共有するべきノウハウだと思うのですが。

 

陸上競技は、男子だけで17千人増。これは箱根駅伝等の影響か?

 

卓球は女子が大幅増(+12千人)

年度別に詳細をみると、12年までは9万人程度で横ばいだったのが、13~15年にかけて増加して97千人前後になっている。12年のロンドン五輪の影響が大きい?

小学生から大人まで、卓球人口全体も増えているようなので、この勢いはまだまだ続きそう。

 

・競技人口減ったのは、軟式野球ソフトテニス・バレーボール・バスケット

減少が目立つのが、「軟式野球(△134千人)」「ソフトテニス(△38千人)」「バレーボール(△33千人)」「バスケット(△29千人)」。

 

中でも軟式野球はひどい!。

男子が10年間で、306千人→174千人と57%まで減少。中学生人口減以上に競技人口が減っています。

平成19年には圧倒的に男子の1番人気だったのが、平成29年にはサッカーに次いで第2位。この調子だと、ソフトテニス・バスケット・卓球に抜かれるのも、時間の問題。巷で野球の危機が騒がれるのも納得。

野球教室を開催するなどして、連盟も努力はしているようだけど、この流れを変えるのは難しいでしょうね。野球部は「厳しい」「理不尽」「非科学的」というイメージがあるので、僕が中学生でも野球部に入ろうとは思わないだろうなあ。

 

実は、ソフトボールも10年間で△21千人で、66%まで減少。

野球・ソフトボール人口の減少は、ものすごいスピードで進んでいます。

 

ソフトテニスは、男女ともに減少。理由はよく分からない。

 

バレーボールは何がこんなに?と思うほど、女子の減少が著しい。

女子の競技人口は多いのですが、188千人→155千人(△33千人)82%まで減少。

 

バスケットは女子の減少が意外と言えば意外。男子は若干減っているものの、95%なので中学生人口の減少ほどではなく、実質増。

ところが、女子は87%まで減っているうえ、年毎でも着実に減少。

 

3.まとめ

人口減少の影響で、多くの競技で競技人口も減少中。

今後も人口減少が続くため、マイナースポーツの中には、部活動が成り立ない競技が出てくる。

 

複数校で部活動を運営したり、競技団体自らが地域のスポーツクラブ創設を進める等、積極的に活動の場を確保することが、必要ではないだろうか。

 

追記

高校生編でも書いたけど、バドミントンの競技人口増加の秘訣をスポーツ界全体で共有するべきだと思うなあ。