男子マラソン:東京五輪で日本選手のメダル獲得が現実味を帯びてきた(希望的観測)

3月で今年のマラソンシーズンも終了。 

今年の男子マラソンは、数十年ぶりの明るいシーズンでした。設楽悠太日本記録を筆頭に、6分台2人、7分台1人、8分台4人と近年になく好記録が続出。東京五輪へ向けて、光明が見えたシーズンでした。

 

五輪大好きの私としては、好記録が出ると期待してしまうのが、東京五輪でのメダル。

 

そこで、マラソンの世界歴代記録と比較しながら、日本人選手のメダル可能性を見ていくことにしました。

 

1.五輪における日本記録の順位

 

世界の歴代100傑を見ると、今回の設楽選手の日本記録(2時間6分11秒)は88位に相当します。 

日本記録を上回る選手が87人もいるので、いきなり絶望的になるのですが、、、

 

ところが、世界歴代100傑のうち93人がケニアエチオピアの選手で占められていて、占有率は何と93%!

両国以外の選手で、歴代100位以内の記録を持つ選手は7人しかいないのです!

その7人の内訳は、モロッコ2、米・ブラジル・トルコ・ノルウエー・日本各1。

そして、その7人のうち今でも現役なのは、ノルウエーの選手(モーエン)と日本の設楽悠太選手の2人だけなのです。

 

日本の男子マラソンは停滞しているとよく言われますが、実はケニアエチオピア以外の国はどこも低迷しているのです。日本は他の国に先駆けて停滞から脱出した、というのが現状なのです。

 

 更に、五輪には1か国3名までという出場制限があります。

これを考慮すると、なんと設楽悠太選手の順位は記録の上では8位になってしまう!。

 

2.圧倒的に強いケニアエチオピア勢に勝てるか?

 

1カ国3人までという出場制限があったとしても、ケニアエチオピア勢は6人出られる。普通に考えればメダルは両国で独占という事になりますが、過去の五輪の成績を見ると必ずしもそうなっていないのです。 

 

試しに、両国が本格的に強くなった2000年以降の200年のシドニー五輪から2016年リオ五輪まで5大会のメダル獲得状況を見てみます。

5大会の金銀銅のメダル合計15個のうち、ケニアエチオピアの獲得メダル数は9個。占有率はわずか(?)6割。93%をしめる歴代100傑の状況から見ると、メダル獲得率はかなり下がっています。

 

そうです、オリンピックのレース結果はランキングをそのまま反映したものにはなっていないのです。

2か国がメダルを独占したのは00年のシドニー五輪のみで、04年アテネから16年リオまでの4大会では、両国以外の選手がいずれかのメダルを獲得しています。

 

ラソンは、レース当日の選手の状態や天候・レース展開などで、記録通りにならないとか、ランキングの記録のほとんどが冬のレースで出たものなので、夏のオリンピックにはそのまま当てはまらない、とかいろいろと理由はあるようです。

 

実際、五輪ではケニアエチオピアの計6選手のうち、常に3~4人はランキング通りの力を発揮できないまま終わっています。そこに他の国の選手が漬け込む隙が生じてくる。 

因みに、直近2大会の12年ロンドンと16年リオでの、両国以外のメダリストは以下の2名。

 ロンドン五輪:スティーブン・キプロティク(ウガンダ) 金

 リオ五輪  :ゲレン・ラップ(米) 銅

 

2人とも歴代100位の記録は持っていません。

しかし、スティーブン・キプロティク(ウガンダ)はマラソン自己ベスト2時間6分33秒、ゲレン・ラップ(米)はロンドン五輪の1万・五千のメダリストと、それなりの走力の持ち主でした。

 

やはりメダル争いするには、それなりの走力は必要のようです。

 

目安としては、自己記録で3分程度の差であれば、レース展開次第でメダルの可能性が出てくるんじゃないでしょうか。具体的には、今の世界のトップの記録が2時間3分前後なので、2時間6分程度の記録ということになります。

 

これまでは、日本選手のベストは8分台であったため、どう頑張ってもメダル争いに加われるのは無理でした。

しかし、今シーズンのように6分前後の力が付けば、トップクラスとの差が3分程度に縮まり、日本選手もメダル争いができるようになります。

 

ケニアエチオピアの選手の6人のうち4人以上がレースに失敗する(その可能性は高い)という前提ですが、夏の東京五輪男子マラソンでの日本のメダル獲得の可能性はあります。