昨年(2017年)8月にヘルシンキで見た、少年サッカーの練習風景が、あまりにも日本とは違っていて驚きました。
何が違うかというと、練習のゆるさ。
極端に言うと、ずーっと遊んでいる感じ。
日本みたいに、コーンを置いてとか、二人で向き合ってパス交換とか、組織だった練習は全くありませんでした。
サッカーを心から楽しんでいる様子が印象的だったので、紹介したい思います。
1.フィンランドのサッカー事情と練習を見たクラブ
フィンランドの人口は550万人と、日本の約20分の1程度。
FIFAランキングは、日本が55位に対してフィンランドは62位(18年8月時点)。
ワールドカップ本大会の出場経験もなく、決して強豪国ではありません。
サッカーはそこそこポピュラーなようですが、国民的人気という点では、アイスホッケーが断トツのようです。
ヘルシンキに滞在したのは夏でアイスホッケーはシーズンオフでしたが、子供達がやるTVゲームの多くはアイスホッケーでした。
練習を見たのは、首都ヘルシンキにある「HJKヘルシンキ」というサッカークラブ。
日本に帰ってきてから知ったのですが、フィンランドではかなりの強豪のようです。
過去の戦績は、リーグ戦優勝28回(第一位)、フィンランドカップ優勝12回(FCハカと並んで第一位)。フィンランドのナンバーワンクラブです。日本で言うと、プロ野球の巨人みたいな感じ。
ウイキペディアによると2014~17まで、日本の田中亜人夢選手が在籍していたらしい。
見てきたのは、日本でいう小学生年代の練習です。
2.遊んでいるかのような練習風景
練習は、いくつかのグループに分かれて行われて、それぞれに大人のコーチが1人か2人くらいずつ付きます。
低学年には7,8人に一人、高学年になると12,3人に一人ぐらいの割合みたい。
最初グラウンドを見たとき、まだ練習の前で、子供達が遊んでいるんだと思いました。
ボールを蹴りながら、ぺちゃくちゃ喋ったり、コーチらしき大人とふざけたりしていました。
いつになったら練習が始まるんだろう、と思いながら見ていると、子供達がグラウンドから出て、ユニフォームを脱ぎ始めたのです。
そこで初めて、遊んでいるように見えたのが、実は練習だったのだと気づいたのです。
日本との大きな違いは、コーチがほとんど口を出さないこと。
コーチがやることは、練習メニューの説明をして、始まりと終わりの合図をするだけ。
練習内容は、最初にウオーミングアップ兼用のリフティングとドリブルを少々。後は、ひたすらゲームをやっていました。
その間、大人が大声を上げることは全くなく、細かく指導する場面もほとんどありません。子供がやりたいようにやらせていました。
特に、ウオーミングアップの時には練習に飽きて、友達と話したりボールの上に座ったりする子もいるんですが、それを注意するコーチもいません。
↓練習風景の動画です
*この動画では写ってませんが、グラウンドの奥のほうで中学生年代らしいチームが練習してます。メニューは少し練習っぽくなるけど、同じように雰囲気は緩いです。
ゲームの時も、日本ならポジションがどうとか、パスコースがどうとか、コーチが注意しそうですが、そういうのも全くなし。
日本的基準からすると、少しは注意してあげたほうが良いんじゃないか、と思うようなことがあっても何も言いません。
3.まとめ
とにかく、グラウンドの雰囲気が緩いです。まるで遊んでいるよう。
日本だと、「会費を返せ」というクレームがきそうなゆるさ。
だけど、ボールを蹴っている子供達は、表情が豊かでとても楽しそうでした。
サッカーをする喜びを全身で表しています。
コーチの大人達も、注意するどころか一緒になって遊んでいました。
「スポーツは本来、遊び」というのは、こういうことを言うんでしょうね。
これを見ると、日本の小学生サッカーがロボットのように思えてきました。
おそらく、技術を習得するには、日本式の方が効率が良いと思います。
フィンランドの子供達のフォームはばらばらで、お世辞にもきれいとは言えません。
一方、楽しいのはフィンランドの子供達でしょうねえ。
ゲームで、自分なりの抜き方が上手く行ったときの嬉しそうな表情は、こっちまで幸せな気分にしてくれます。
大人が何も言わないので、自然と自分で工夫してプレーするようになるみたい。
日本とフィンランドの子供達はどちらが幸せなんだろうか、と考えさせられた練習風景でした。