「一言書評」死ぬ瞬間の5つの後悔
— 信三郎 (@thinker_thinker) 2019年2月18日
終末期の患者が死ぬ前に残した言葉が心に刺さります。
・あんなに働かなければ良かった
・他人の期待にそえるのじゃなく、自分に正直に生きれば良かった
後悔しない生き方とは何か、を考える人のヒントになる書です
「死ぬ瞬間の5つの後悔(著者:ブロニー・ケア)」という本を読みました。
終末期患者への緩和ケア介護を行っている、オーストラリアの女性の体験を綴った本です。
”人は死を目の前にしたときに、人生を振り返って何を思うのか”
これがこの本のテーマ。
重いですね。
と同時に、生きていく上でこんな大切な問いかけもないでしょう。
本書には「終末期の患者が人生を振り返ったとき、何を後悔しているのか」が書かれています。
筆者は主な後悔として以下の5つを挙げています。
1.自分に正直に生きればよかった
2.働きすぎなければよかった
3.思い切って自分の気持を伝えればよかった
4.友人と連絡を取り続ければよかった
5.幸せをあきらめなければよかった
人生の終末期を迎えた患者の言葉は、どれも心に深く刻み込まれます。
1.印象に残った言葉
その中でも僕が最も印象に残ったのは、2番めの言葉。
「あんなに働かなければよかった」です。
これは、ある成功したビジネスマンの言葉。
仕事に邁進し、高い地位と高額な報酬を得た彼。
仕事を優先し、「旅行に行きたい」という妻の願いを退職まで先延ばしにする。
ところが、あと数ヶ月で退職というときに、妻が亡くなってしまう。
自分の余命が幾ばくもないことを知った彼は、人生を振り返って著者に言います。
「私は仕事がとても好きだったよ、もちろん。それに地位もすごく気に入っていた。
けれど、今となってはそれは何になる?
(中略)
私は怖かったのだと思うよ。そう、怖かったんだ。ある意味、地位が私の価値を決めていた。
もちろん、こうして死を控えてここに座っている今は、良い人間でいることだけで、人生は十分以上だと思っている。
我々はなぜ、物質的な成功で自分の価値をはかろうとするのだろう?」
この言葉。
多くのビジネスパーソンに響くんじゃないでしょうか。
2.亡くなった叔母の言葉
なぜ、これが一番印象に残ったのだろうか?
おそらくそれは、働き者だった叔母をがんで亡くす、という経験をしたからだと思います。
叔母もがんで余命が数ヶ月という時、同じように「仕事ばかりで、結局何にもない人生だった」と漏らしたのです。
彼女は小さい頃から家族の中でも、飛び抜けて優秀だったようでした。
高校生のときは、テストで北海道で一番になったこともあるほど。
東京の超難関国立大学へ入学し、その後教師へという道を歩んだ。
一生独身でしたがそれなりに仕事熱心な人でした。
昔、その人の部屋に行った時、本棚に教育関係の本が多く並んでいるのを見て、子供心にも「仕事熱心だなあ」と思った記憶があります。
学生時代は勉強を頑張り、社会人になってからは仕事に情熱を注いだ。
しかし、そうやって勉強・仕事に没頭した結果、人生に何が残ったのか?
彼女には、多くの心残りがあったようです。
叔母の言葉を聞いた時、まだサラリーマンだった僕は、頭をハンマーで殴られたような感じになりました。
仕事に打ち込む気持ち。
僕も少しは分かる気がします。
確かに、目の前の仕事に打ち込んでいる時は、それなりに達成感や充実感を覚えます。
おそらく叔母も、その時はそれなりに充実した日々を送っていたのだろうと思います。
問題は、それが「ほんとうの幸せにつながるのか?」ということ。
3.もし今日死ぬとした、自分の人生はどうだったのだろう?
日本では、多くの人が仕事中心の日々を過ごしていると思います。
それが人として正しい生き方なのか?
考えさせられます。
この本を読んだ後、「もし今日死ぬとしたら、自分の人生をどう思うだろうか」と想像してみました。
自分の人生で、やって良かったと思ったこと
・家族と過ごしたこと
・友達や彼女との楽しかった時間、
・好きなことに夢中になったこと(野球、サッカー、ランニング、読書、旅行)。
逆に、やっておけばよかったと後悔するだろうと思ったこと
・好きな女の子にきちんと告白すればよかった
・もっと、親孝行したい
不思議なことに、仕事の事は全く頭に浮かんできませんでした。
学校を卒業してからの大部分を仕事に費やしたにもかかわらず、重要な経験から抜け落ちているのです。
会社の仕事をサボったり手を抜いたりしたこともありました。失敗したことも数多くあります。
結果的に良いサラリーマン人生とは言えなかったと思う。
しかし、不思議なくらいそれについての後悔の念は沸いてきません。
人生を振り返ると、そんなことはどうでもいいことになってしまうようです。
仕事というものは、人生にとって取るに足らないものなんじゃないだろうか。
自分の死をシミュレーションしてみて、そう思いました。
4.まとめ
日々仕事に追われていると、仕事こそが人生の最重要事項だと思えてきます。
多くの人は仕事に没頭します。
しかし、それで本当に幸せになれるのか?
働きすぎると人は死ぬ前に後悔する。しかし、サボっても後悔しない
今の仕事にやりがいや生きがいを感じられない人も多いと思う。
そういう時は、いったん仕事の手を休めて自分の人生を見つめ直すことも必要かも。
自分の人生がどうだっだかなんて、死ぬ前にならないとわからない。
だけど、そのときになればもう手遅れ。
先人達が残してくれた貴重な人生の教訓。
その声を聞くことは、人生を有意義なものにするために、決して無駄にならないと思います。
- 作者: ブロニーウェア,Bronnie Ware,仁木めぐみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
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