最近、やたらと「絶対」という言葉を使う人が増えたような気がします。
この言葉、軽々しく使えないはずなのに、ちょくちょく耳にします。
昔、尊敬する人に言われました。
「世の中に「絶対」ということはないのだから、滅多なことでは使うな」
そのひとは、物事をきちんと考える人で、周りからの信頼も厚い人格者でした。
人生や仕事について色々と教えを請うた人で、今でも尊敬しています。
だから、僕は「絶対」という言葉には、重い意味があると思うんです。
だけど、最近大したことでもないのに、やたらと「絶対」を乱用していることが多い気がします。
おみくじを引いて「この占い、絶対当たると思う!」。
子供を見て「将来、絶対可愛くなると思う」
映画の予告編を見て「絶対、見に行きたい!」
褒めるとき「絶対さえつければオッケー!」みたいな感じで、却って安っぽい。
ある日、嫁さんが買ってきたプリンを夕食後のデザートに食べました。
お気に入りの店で買ってきたらしく、しきりにその特徴を説明してくるんです。
そして、食べ終わったときに嫁さんが言いました。
「絶対、今日のプリンは***(ある洋菓子チェーン店)のプリンより,絶対美味しいと思う」
思わず、「はあ?」と聞き返してしまいました。
因みに、僕も嫁さんも(ある洋菓子チェーン店)のプリンは食べたことありません。
「絶対」という断定の単語のあとに、「思う」という推測の言葉はつかないでしょ。
断定か?、推測か?、どっちなの?
言葉としておかしいでしょ。
日本語として間違ってませんか?
そのときの嫁さんの説明によると、「絶対」という言葉には「強い気持ち」が込められているそうだ。
上の会話を言い直すと
「今日のプリンは***のプリンより、美味しいに違いない!ぜひ、そうあってほしい!きっとそうだ!」
という意味になるらしいです。
じゃあ、そう言えばいいじゃん。
「絶対」というのは「その事象が100%起きる」ということでしょ。
「絶対」という言葉のあとに、「思う」や「だろう」という推測の言葉が付くのは、「絶対おかしい!」
と、嫁に訴えたのでした。
まあ、軽くあしらわれたけど。
「絶対」の意味をネットで調べてみました。
[名・形動]
1 他に比較するものや対立するものがないこと。また、そのさま。「絶対の真理」「絶対な(の)存在」「絶対君主」
2 他の何ものにも制約・制限されないこと。また、そのさま。「絶対な(の)権力」
3 ⇒絶対者
4 (副詞的に用いる)
㋐どうしても。何がどうあっても。「絶対に行く」「絶対合格する」
㋑(あとに打消しの語を伴って)決して。「絶対に負けない」「絶対許さない」「絶対反対」
(引用)goo 国語辞書より
これによると「絶対」には、「何があっても間違えようがない」とか、「100%必ず起きる」という意味がある。
よほどのことじゃないと使えないことばのはず。
物事というのはいったん気になりだすと、些細なことが引っかかるもの。
それ以来、「絶対」という言葉がやたらと耳につくようになりました。
「これ、絶対おいしいやつ」。
テレビでタレントが出された料理を見てよく言うセリフですね。
いやいや、あなたまだ食べてないでしょ。
美味しいか、美味しくないかわからないのに、「絶対」という断定の言葉はおかしいでしょ。
「絶対、負けられない戦いがある」
戦争でもあるまいし、たかがサッカーで100%負けられないって、どんな試合やねん。
負けた翌日も、みんな普通の日常生活送ってますよ。
などなど、、、、
確かに、最初は「絶対」を使えばインパクトがあった。
しかし、今みたいに頻繁に使われると、陳腐な煽り言葉にしか聞こえなくなる。
よく考えてみると、ちょっと違和感のある日本語は他にもあります。
例えば作戦がうまくいった時に、最近よく「有効的」という言葉を聞く。
これもなんだか変ですよね、
有効には「効果がある」という断定の意味があるのに、そこに「的」という推定が入るのはおかしくないか?
ここは「効果的」が正しいでしょ。
辞書にも「有効的」という言葉はないそうです。
ということをうだうだ言っていたら、嫁から一言。
「会話なんだから、分かれば良いのよ!」
まあ、そうだけど、、、、。
なんか、腑に落ちないんだよなぁ。
「意味不明だろ」と心の中で呟いたのでした。
今日も「絶対」の大合唱にさらされて、頭の中はクエスチョンマークでいっぱいです。
その変な日本語。絶対、やめてほしいんですけど。